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油彩画の修繕


宮城県内でも比較的降雪が少ない沿岸の石巻。
それでも今シーズンは、寒波が日本列島を覆う日が多いためか雪景色の日が多いです。

このような天候が続く1/31に、当館所蔵の絵画の修復のため、
筆者の鶴岡孝夫先生がいらっしゃいました。

先生は東日本大震災後の2011年(平成23)4月26日、
当館が避難所になっていると聞き、東京から公共交通機関と徒歩で来館し、
避難している方の似顔絵を描いてくださいました。

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↑2011年4月27日に来館された時の様子。


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↑写真を無くされた方々にとって、似顔絵は何よりの支援となりました。



そして1月末日にも、絵画の修繕に鶴岡先生が再来館されました。
こ寄贈いただいた「支倉常長ローマ入城」と「支倉常長ローマ市民大歓迎の図」は
東日本大震災の大きな揺れにより落下し、画面の一部が剥落しました。
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↑画面上部の剥落部分。


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↑剥落した破片を接着し、つなぎ目の色を調整しながら修繕していく技はさすがです。


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↑無事に修繕された絵画。


鶴岡先生、専門技術のご支援ありがとうございました。
再び多くのお客様にご覧いただけるまで、大事に保管いたします。
# by santjuan | 2012-01-31 17:15 | 支援

復元船・館内の状況について②


当館の現在の状況を報告いたします。

○復元船及びドック棟
こちらは震災時の様子です。(2011.5.31撮影)
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大津波の直撃によりドック棟及び、復元船外板(がいはん)部が損壊、
また、四月末の暴風雨により2本のマストが折損した状態です。
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そして、こちらは現在の様子です。(2011.12.22撮影)
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全てではありませんが、瓦礫は撤去され、復元船は外板の補修を終えて、
折損したマストも解体撤去が行われました。
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また、ドック内に留まっていた瓦礫も撤去されました。
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津波の衝撃により、復元船より脱落した係留ロープが再度張られ、
復元船への橋も架け直されました。(※現在は立入禁止となっています。)
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○展望棟
震度6強の揺れにより、天井の一部、絵画などの展示品、
事務所内設備の一部落下がありましたが、サン・ファン館展望棟は高台にあるため、
大津波の直撃を免れ、幸いにも、大きな損傷はありませんでした。
また、震災直後より8月中旬まで、展望棟セミナールームとレストラン施設は、
周辺地域の方々へ避難所として提供しておりました。
現在は補修工事を終え、震災以前とほぼ変わらない状況となっています。
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○サン・ファンパーク
現在のサン・ファンパークの様子です。
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こちらも高台のため、大津波の直撃はありませんでしたが、
地震で発生した段差箇所に、職員らで砂利を撒き、応急補修を施しています。
サン・ファン広場や立体駐車場には大きな被害はなかったため、
震災後は数回、イベントも実施され、多くのご来場者で賑わいました。
画像は10月開催「サン・ファン・バウティスタ出帆記念イベント」の様子です。
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サン・ファン館は現在も休館中ですが、再開館へ向け、準備が進められています。
# by santjuan | 2011-12-22 15:05 | サン・ファン館

万石橋~渡波祝田地区


万石橋と祝田(H23.5.11撮影)
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万石橋は石巻市街と半島を隔てる万石浦の入江に掛かる橋です。
市街からサン・ファン館へのアクセスには欠かせない橋です。

震災直後は津波により打ち上げられた瓦礫や漁船により、職員や周辺地域の住民は数日間、街との連絡を一切遮断されてしまいました。

また、サン・ファン館方面へ橋を渡ると石巻市渡波祝田(わたのはいわいだ)地区があります。
大津波は、渡波港に設置された堤防をいとも簡単に乗り越え、この入江沿岸の祝田にも押し寄せました。
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岸には連なるように多くの住宅が建ち並んでいましたが、その形跡はほとんどありません。
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瓦礫が散乱し、なぎ倒された電柱が横たわっています。
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しかし、震災から2カ月経ったこの日は、新しい電柱が建てられていました。
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現在、この万石浦~渡波地区では大規模な地盤沈下により、広範囲に渡る冠水問題が大地震の爪跡として残っています。
今日も、地域に再び復興のあかりを灯すべく、復旧作業が続いています。
(H23.6.15/16撮影)
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# by santjuan | 2011-06-16 11:26 | 石巻市内

中瀬


2011年4月5日 石巻市中瀬

日和山から見た中瀬地区(2011.4.5撮影)
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旧北上川の中洲が、石ノ森萬画館や旧石巻ハリストス正教会教会堂のある中瀬地区です。
かつては造船所があり、復元船サン・ファン・バウティスタの船体も、この中瀬で作られました。


旧北上川にかかる内海橋は通行できるようになっていました。(2011.4.5撮影)
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左が石ノ森萬画館、右が旧石巻ハリストス正教会教会堂(2011.4.5撮影)
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旧石巻ハリストス正教会教会堂(聖使徒イオアン会堂)は、現存する木造教会堂建築では日本最古級のもので、石巻市の指定文化財となっています。
明治13年(1880年)、石巻市千石町に建設されました。昭和53年の宮城県沖地震でも被災し、取り壊しも検討されましたが、現在地に移築・復元されました。(2011.4.5撮影)
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石ノ森萬画館
館内では、職員の方などによる瓦礫や泥の撤去作業が行われていました。(2011.4.5撮影)
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# by santjuan | 2011-06-02 17:16 | 石巻市内

復元船・館内の状況について①


2011年3月11日14:48に発生した東日本大震災により、石巻市沿岸部に位置する当館も復元船を取り囲むドック棟を中心に大きな被害を受けました。


1枚目は震災前の写真です。
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ドック棟は復元船を取り囲むように設置されたガラス張りの建物です。
天井までの高さは約7~8メートルほどあります。
奥のほうには漁港(佐須湾)が見えます。


2枚目は大津波直撃中の写真です。(2011.3.11 15:45 当館職員撮影)
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津波直撃の際には、ドック棟に倒れこむのではないかと思われるほど、復元船全体が左右に大きく傾き、揺さぶられました。

1枚目の写真と比較すると、ドック棟の天井付近まで波が押し寄せているのが分かります。
また、漁港はそこに何もなかったかの様に、全て波に覆われてしまっています。
大津波は、その後何度も押し寄せました。



3枚目は津波後の写真です。(H23.4.11職員撮影)
2~3㎝の厚さがあるドック棟のガラスは殆どが破られ、帆船模型などの展示物も流失してしまいました。
ドック内には流れ着いた瓦礫が散乱しています。
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そしてこちらは4月27日深夜の暴風雨、翌日の写真です。(H23.4.28職員撮影)
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強風により、中央のメインマスト見張り台上部のトップマストと、前方のフォアマストが折れてしまいました。
建造以来、この地で誰も経験したことのない未曾有の大地震・大津波にも果敢に耐え、一時は大航海時代の荒波にも耐えうることを証明した復元船ですが、思いのほか内部の損傷は大きかったのかもしれません。


館内の状況などについては、後日追って更新いたします。
# by santjuan | 2011-05-08 15:49 | サン・ファン館